Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
岸に立つと、風がつよい。
武蔵の鬢の毛を、袂を、袴のすそを、潮の香のつよい風が颯々と撲って通った。
「佐助」
そこにある小舟へ呼ぶ。
佐助は、初めて振り向いた。
さっきから、彼は武蔵の来たことを知っていたが、わざと、小舟の中で、あらぬ方へ、眼をやっていたのだった。
「お。……武蔵様。もうよろしいのでございますか」
「よし。舟を、もう少し寄せてくれい」
「ただ今」
佐助は、繋綱を解き、棹を抜いて、その棹で、浅瀬を突いた。
翻――と、武蔵の身が、その舳へ跳び移った時である。
「――あっ。あぶない、お通さんっ」
松の陰で、声がした。
城太郎である。
彼女と共に、姫路からついて来た青木城太郎だった。
城太郎も、一目、師の武蔵に――と志して来たのであったが、最前からの様子に、出る機を失って、樹陰のあたりに、やはりあらぬ方へ眼をやったまま――佇んでいたものらしかった。
ところが今。武蔵が、足を大地から離して、舟の人となったかと見えた途端に、何思ったかお通が、水へ向って、驀しぐらに駈け出したので、城太郎は、もしやと直ぐ気をまわして、
(あぶない!)
と、思わず、追いかけながら叫んでしまったものだった。