Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

伊織は、刀を下へ向けて、滅茶滅茶に枝の間をふり廻していた。双手が使えないだけに、城太郎も無碍にはそれへ近づけなかった。

体は小さいが、伊織には智がある。年齢が上だけに、城太郎は相手を呑んでいる。といって、こんな樹の上では、いつまで埒はつかなかった。いや、体の小さい伊織のほうが、位置からいってもかえって利があった。

そうしているうちに、この林の杉木立の彼方で、尺八をふく人間があった。もちろんその人間が見えるわけでもないし、何処と定かにも分らないが、とにかくその音が二人の耳にとどく距離のうちで、その夜、尺八をふいている者があることに間違いはなかった。

伊織も城太郎も、その音を聞くと一瞬、争いをやめて、真っ暗な木の葉の宇宙で、毛穴から呼吸をし合っていた。

「……チビ」

城太郎は、沈黙から回ると、ふたたび伊織の影へ向って、こんどは少し諭すようにいった。

「見かけによらない強情なところは、感心なものだといっておこう。誰にたのまれて、おれの後を尾行たのか、それさえ白状したら生命は助けてやるがどうだ」

「あかといえ」

「何」

「こう見えても、宮本武蔵の一の弟子、三沢伊織とはおいらの名だ。