Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
「なぜじゃ」
「すこし今日は、その」
よくよくな顔していうので、強ってともいわれず小次郎は急にあっさりと、
「ああそうか。然らば、折を見て、そちの方からわしの住居へ訪ねて来い。伊皿子坂の途中、岩間角兵衛どのの門内におる」
「伺います。ぜひ近日」
「あ……それはよいが、先頃、各所の辻に立ててあった高札を見たか。武蔵へ告げる半瓦の者どもが打った立札を」
「見ました」
「本位田のおばばも尋ねておるぞと、書いてあったろうが」
「は。ありました」
「なぜすぐに、老母をたずねて参らぬのじゃ」
「この姿では」
「ばかな。自分の母親に何の見得がある。何日、武蔵と出会わんとも限らぬではないか。その時、一子として、居合わせなかったら、一生の不覚だぞ。生涯の悔いをのこすことになるぞ」
彼の意見じみた言葉を、又八は素直に聞けなかった。母子のあいだの感情は、他人の見た眼のようなのではない。――そう腹の膨れるように思ったが、たった今、救われた恩義のてまえ、
「はい。そのうちに」
と、渋った返辞をのこして、芝の辻でわかれた。
――小次郎は人が悪い。別れると見せて、実はすぐまた、引っ返していた。又八の曲がった狭い裏町を、見え隠れに尾けて行った。