Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

「こら、退け退け」

先を払って、

「いそげ」

と、駕仲間へいった。

空が赤かった。町のうわさは夕焼に染められている。人が散った後へ、隣のかみさんは、瓜の種やら、ふやけた飯つぶの交じっている汚水を撒きちらした。

ところへ。

若い弟子を連れた坊さんがそこへ来た。法衣を見てもすぐ分る通り禅家の雲水さんである。油蝉みたいな黒い皮膚をし、かなつぼ眼というのか、眼のくぼが凹んでいて、高い眉骨の下から、眸がぴかぴかしている。四十から五十ぐらいな間の年齢であろう。こういう禅家の人の年齢は、凡眼ではよく分らない。

体は、小づくりで、贅肉が少しもない。痩せッぽちなのだ。しかし、声が太い。

「おい。おい」

連れている白瓜みたいな弟子を振顧って、

「又八とやら。おい又八坊」

「はい、はい」

そこらの軒並びを覗き歩いて、うろついていた又八坊は、蒼惶として、油蝉のような顔した雲水さんの前へ来て、頭を下げた。

「分らないのかい」

「ただ今、さがしております」

「おまえ、一度も、来たことはないのか」

「はい。いつも、山へ足を運んでくれますのでつい」

「訊いてみなさい。その辺で」

「は。そう致しましょう」