Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate

Aozora Bunko

必死にもがく萩乃、匹田の帯あげがほどけかかって、島田のほつれが夜風になびき、しどけない美しさ。乱れた裾前に、処女の素足は、夜目にもクッキリと――。

答えぬ左膳の恐ろしさに、萩乃は、はじめて気がついたように、

「アレイ、誰か来て! 狼藉者……!」

さけぼうとする口を、横ざまに萩乃の胸にかかっていた左膳の左手が、ムズとふさぐ。

振りかえれば、灯のもれる道場は、大混乱だ。何人、何十人、イヤいく十人かの死体が、そこにころがっているのであろう。人々は、左膳を追うことも忘れているらしく、屋敷ぜんたい、異様に静まりかえっている。

ヒタヒタと庭の苔を踏んで、……ギイ、バタン! そっと裏木戸を出た左膳、萩乃を引きずり、ひったて歩かせながら、土塀に沿って魔のように、真夜中の妻恋坂を駈けておりてゆく。

この妻恋坂の途中……ちょうど司馬の屋敷の真下に当たるところにちょっとした空地がございます。

もと小普請入りの御家人の住居だったのが、あまり古びたのでとりこわし、まだそのままになっている。ものすごい雲の流れを背に、立ち木が二、三本ヒョロヒョロと立って、くずれた石垣のあいだに、チチチと、耳鳴りのような音をたてて鳴いているのは、あれは、なんの地虫?