Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate

Aozora Bunko

八

今はこうしてここに、自分たちを飼っておいて、そのときが来るのを待っているに相違ない。

血ばしった眼で、空をにらんだお蓮様は、

「お美夜! サ、しっかりして……!」

と、思わず、小さな肩を握りしめていた。

八

これですべてが読めた!

お蓮様はやつぎばやに、お梶へ向かってうなずくと、そのわかったという意味が、聞こえぬ耳にも通じたとみえ、お梶はニッコリするとともに、さきほどからの手真似話に精根つき果てたとみえ、ベッタリそこへくずおれてしまった。

父の作阿弥に会うことができれば……。

「それさえできれば、なんのおそれることもないのだけれど――」

口をついて出るお蓮様のひとり言を、折りから檐を暴風雨の轟音が、さらうように吹き消す。

お梶は死人のように、着物で顔をおおって、からだを丸くして畳に倒れたままだ。

作阿弥に会いさえすれば――だが、自分をとりまく多勢の下役人たちは、上役から、狂人だからそのつもりでと言いわたされているので、なんと頼んでもむだなことは、このあいだからの努力で、わかっている。

かりに、今夜のこの闇と雨風に乗じて、この家をのがれ出るにしても。

このまわりがあれほど厳重にかためてあることは、誰よりもお蓮様が、いちばんよく知っている。