Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate

Aozora Bunko

四

愚楽老人の眼くばせを受けて、越前守は、壺の風呂敷をとき、古色蒼然たる桐の箱を取り出した。

時代で黒光りがしている。やがてその蓋を取りのぞき、そっと御前に出したのは、すがりという赤の絹紐の網のかかった、これぞ、まぎれもないこけ猿の茶壺……。

多くの人をさわがせ、世に荒波をかきたてたとも見えず、何事も知らぬ顔にヒッソリと静まり返っているところは、さすが大名物だけに、にくらしいほどのおちつきと、品位。

人に頭をさげさせるだけで、自分の頭をさげたことのない八代有徳院殿も、このとき、このこけ猿に面と向かったときだけは、おのずと頭のさがるのをおぼえたと申し伝えられております。

ウーム、とうなった吉宗様、壺を手近に引きよせて、つくづくとごらんになり、

「りっぱな作ゆきじゃなあ。品行といい、味わいといい、たいしたものじゃナ」

幾金ぐらいだろう……そんな骨董屋みたいなことはおっしゃいません。

四

「あけてくやしき玉手箱――スウッと煙が出て、この吉宗、たちまち其方のような老人になるやもしれぬぞ」

ごきげんのいいときは、お口の軽い八代様、そんなことをおっしゃって、愚楽へ笑いかけながら、パッと壺の蓋をとった。