Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate
それに。
日光造営中、山を取りまく四十里のあいだにいくつとなく関所が設けられて、文字どおり蟻のはい出るすきもないのだから、足弱の自分が子供を連れて、この山道をどうして脱け出すことができよう!
お蓮様は、ギュッと、痛いほどお美夜ちゃんをだきかかえ、眼をすえ、唇をかみしめて……助かる方法もがなと、せわしい思いが頭の中をかけめぐっている。
その、狂気のような、人相の変わった母の顔を、お美夜ちゃんは下から、あどけなく見あげて、
「母ちゃん、お梶は眠ってしまったよ。こんなところでうたた寝をして、風邪を引くといけないわねえ」
「ええ、そう……」
答える心もうわの空に、お蓮さまがじっと考えこんでいると。
どんな暴風雨の最中にも、ピタリと物鳴りが止んで、ぽつんと切り離されたように音のしない、ふしぎな、無気味な瞬間があるものです。
今がそれ。
雨も風も、急に暴威をおさめて、もみ抜かれた樹々、はためきわたっていた家が、にわかに、はたと鳴りをしずめると、暗い地獄へおちこむような静寂。
そのしずけさの底に、淙々と水の流れる音がする……のは、この家の裏からおりた谷間にささやかな渓流のあることを示しているので。