Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate
刀身に、白く月が冴えた。
どすッと、何か、水を含ませた重い蒲団を、地面へたたきつけたような音がしたのは、今の一刀が、みごと左膳の深胴にはまったのか……。
と見えた刹那。
ひょろっと手もとへ流れこんだ左膳の体あたり、無造作に持った濡れ燕の柄が、その切っさきを受けとめて、かわりに、足をすくわれたように空に泳いでいるのは、かえってその斬りつけたひとり。
ふしぎ!
いつ濡れ燕が羽ばたきしたのであろう。
今の重い音は、かれの上半身をななめに斬り裂いた濡れ燕の、血をなめた歓声だったのだ。
「来るかッ。オイ、来る気か」
いっぱいにゆがんだ微笑を浮かべた左膳の顔を、月がぼんやり照らしだす。
眼にもとまらぬうちに、同僚の二人まで失った柳生の連中は、浮き足だったのだろう。
「おおそうだ、これから切通しへ出れば、妻恋坂はさほど遠くはない」
「うむ、われわれの手にはちょっと負えそうもない。若殿源三郎さまを御加勢にお願い申して――」
うまい逃げ口上もあったもので、一人がぱッとかけ出すと、残っていた三人ほども、一時にそのあとを追って、右側の軒下づたいに、本郷のほうへスッとんでゆく。