Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.229 caratteri · 389 schermate
「御老人、こちらかな?」
微笑をふくんだ越前守の声。
つづいて、音もなくふすまがすべって、恰幅のいい忠相の姿が、うす闇をしょってはいってきた。老人の眼は、あわただしく、この夜の訪問者の手もとへゆく。が、忠相は何も持っていない……。
手ぶら?
と、愚楽老人の顔に失望の色がはしったとき、
「大作、其品をそこへ置いて、その方は溜りで待つがよい」
忠相がうしろを振りかえって言った。用人の伊吹大作がついてきていたのだ。声に応じて大作は、大きな箱包みを室内へすべらせておいて――無言。
平伏。愚楽老人に挨拶したのち、あとずさりにさがってゆく。
壺の包みを引きよせた越前守忠相は、愚楽の前に静かに座をかまえて、いつまでもほほえんでいる。
「――――?」
と、愚楽老人は、眼できいた。
「例の品でござるか、越州殿」
「まあ、さようで」
「ホホウ、どうしてお手に?」
「かの泰軒が引き受けた以上、成らぬということはありませぬ」
愚楽老人は、それを心から肯定するように、大きくうなずいたのち、
「シテ、その泰軒は、いかなる手段により、いかなる方面より壺を入手したものでござろうのう」
「サア、それは……小娘が使者となって持ってきただけで、委細のことはわかりませんが――」