Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
かくしてもだめだ。川越からおれを尾行て来たのだろう」
「ううん」
――首を振って、
「おら、十二社の中野村まで帰るんだよ」
「いいや、そうじゃない。たしかにおれを尾行て来たに違いない。いったい、誰に頼まれたかいえ」
「知らないよ」
逃げッ尻になるのを、城太郎は手をのばして、その襟もとをつかみよせ、
「いわないか」
「だって……だっておら……何も知らないんだもの」
「こいつめ」
と、すこし締めて、
「おのれは、役所の手先か誰かに頼まれたに違いあるまい、密偵だろう、いや密偵の子だろう」
「じゃあ……おらが密偵の子に見えるなら……おまえは盗ッ人かい?」
「何」
ぎょっとして、城太郎が、その顔を睨めつけると、伊織は、彼の手を外して、首と体を地へすくめたかと思うと、ぱっと風を起して、彼方へ逃げ出して行った。
「――あっ、こいつ」
城太郎もすぐそれを追う。
草の彼方に、土蜂の巣をならべたような藁屋根が幾つか見える。野火止の部落であった。
二
この部落には、鍬鍛冶が住んでいるとみえて、どこかで鎚の音が、かあーん、てえーん、長閑に聞える。赤い秋草の根には、土龍の掘りちらした土が乾き、民家の軒に干してある洗濯物のしずくがぽとぽと落ちていた。