Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
――何の用事か分らない。人を止めておいて、こんな雑談をし――そしてはじろじろとお通の体から顔を、さもしい眼で撫で上げている。
丑之助は、腹を立てて、
「おい。山のおじさん。用があるなら早くいってくんな。帰り途の陽が暮れちまうから」
ぎょろりと、牢人の一人が、初めて丑之助を見、
「われやあ、荒木村から出て来る、炭焼山の小僧じゃねえか」
「そんなことが、用なのかい」
「だまれ。用事は、汝れにあるわけじゃない。汝れは、さっさと帰る方へ帰れ」
「いわれなくても、帰るさ。退いてくんな」
牛の手綱を曳きかけると、
「よこせ」
と、一人がその手綱をつかみ、そして恐い眼を丑之助へして見せた。
丑之助は、離さず、
「どうするのさ」
「用のある人を借りて行くのだ」
「どこへ」
「何処だろうが、黙って、手綱をよこせ」
「いけねえ!」
「いけないと」
「そうさ」
「こいつ、恐いということを知らねえのか。何か、つべこべいうぞ」
すると、他の二人も、脅しの眼を揃え、肩をいからせ、
「何だと」
「どうしたと」
丑之助の周りにかたまって、松瘤のような拳を突きつけた。
お通は、顫えあがって、牛の背へしがみついた。