Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
柱は細く、天井は低めに、佗びたる荒壁の小床には、蕎麦の一輪ざしに、梨の花が一枝、投げてあった。
梨花一枝春帯雨
「…………」
客の佐渡は、白楽天の一句を想い起し、そして長恨歌にうたわれた楊貴妃と漢王との恋など、声なき嗚咽を聞く心地がしていたが――ふと、眼はそこに懸けてある一聯の書に、はっと打たれた。
五字の一行物である。筆太に、濃い墨で、とっぷりと大胆に――が、どこか無邪気で、稚いところをみせ、一気に、
豊国大明神
と書きくだしてあるのである。そしてその大字のわきに小さく「秀頼八歳書」としてあった。
――道理で。
佐渡は、それへ背を向けて坐っている身を畏れて、すこし座の位置を横へ移した。名木を焚きこめてあるのも、客のために今遽かに焚いたのではなく、朝暮に、ここを浄め、これへ神酒を捧げる時のものが、いつか襖にも壁にも沁みているのであろう。
「……ははあ、さてはやはり、噂にたがわぬ幸村の心がけよな」
すぐ佐渡は、そこへ思い当ったのである。九度山の伝心月叟事――真田幸村こそは油断のならぬ漢である。あれをこそ、まことの曲者とはいうべきだろう。いつ風雲によって、どう変じるかも知れぬ惑星だ。