Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

彼はふと、

「よい機――」

と、思いついて、縁を下り、佐渡が饗応されている部屋の方へ庭づたいに歩み、そこから、

「雨が来そうでございます。御主人様、お立ちなれば、今のうちにと存じますが」

声をかけると、先刻から話にとらわれて起ちかねていた佐渡は、心ききたる奴と、直ぐ応じて、

「や、縫か。……何、降って参ったと。今のうちなら濡れもしまい。どれどれ、早速お暇しよう」

幸村へあいさつして、気短に立ちかけると、幸村も、せめて一夜はお泊りをとある所だったが、主従の気もちを察してか、強いてともいわず、大助と嫁を呼んで、

「お客に、蓑をさしあげい。そして大助は、学文路までお送り申しあげて――」

といいつけた。

「はい」

大助は、蓑を持ってくる。それを借りうけて、佐渡は、門を辞した。

迅い足の雲が千丈ヶ谷のふところや、高野の峰々から空を翔けてくるが、雨はさしたることもない。

「ご機嫌よう」

幸村とその家族たちは、門の辺りまで、客を送っていった。

佐渡も、いんぎんに礼を返し、そして幸村へは、

「いずれまた、雨の日か、風の日か、お目もじいたす日もおざろう。ご健勝に――」

と、いった。