Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
「……では、浮いたはなしではないのじゃなあ」
と、つぶやいた。
又八は、法衣を解き、数珠と共に、光悦の手に託して、
「まことに、憚りですが、これを妙心寺の愚堂様に、ご返上申してください。そして恐れ入りますが、今のように仰っしゃって、又八は大坂でひとまず父になって、働くと伝えて下さいませぬか」
「いいのかな。そんなことで、これをお返し申して」
「和上様は、常々てまえにいっていました。町へ帰りたかったらいつでも去れよと」
「ふうむ……」
「また。修行は寺でもできぬことはないが、世間の修行が難事。汚いもの、穢れたものを忌み厭うて、寺にはいって浄いとする者より、嘘、穢れ、惑い、争い、あらゆる醜悪のなかに住んでも、穢れぬ修行こそ、真の行であるともいわれました」
「むむ、いかさまの」
「で、もう一年の余も、お側におりますが、てまえにもまだ、法名も下さいません。きょうまで、又八、又八で済ましていました。――後でまた、いつでも、自分でわからないことができたら、和上様の御門へ駈けこみます。どうぞ、そうお伝え置きくださいまし」
いい終ると、又八は河原へ駈け下り、もう夕霧に仄暗い人影を、あれかそこかと追って行った。