Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
また、ある時はしみじみと、
(もし、いつか窟で、そなたがあのまま、蘇えらなんだら、わしもその場で、死ぬ気であった)
ともいった。
偽りの多い人だったから、彼女も初めは、ばばの懺悔に、またいつ、変化が来まいものでもないと思っていたが、日がたつほど、かえってばばの真情は、濃く厚く、細やかになるばかりだった。
時には、
(こんなにも好いお方とは思わなかった)
と、お通ですら、以前のばばと今のお杉とが、同一に考えられない程だったから、本位田家の親しい者も、村の人々も、
(どうして、あんなに変りなさったか)
と、皆いい合った。
その中に、誰よりも、幸福を知って来たのは、おばば自身であった。
会う者、ことばを交わす者、身近の者――すべてが、自分に対して、以前とは、まるで変って来たからである。にこやかに迎え、にこやかに迎えられ、よい老婆と敬われる幸福を、六十を越えて、彼女ははじめて知ったのである。
ある者は、ぶっつけに、
(ばばさんはこの頃、お顔までよいお顔になんなすったのう)
と、正直にいった。
(そうかも知れぬ)
と、ばばはそっと、鏡を取り出して、自分の相を見入った。