Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

「だから、驚かなかったんですね」

「むむ。……当家のお世話になっておれば、そちのためには、この上もなく安心だからの」

「…………」

「何を悲しむ」

と、頭を撫でて、

「ひとたびお世話になったからには、佐渡様のご恩を忘るるでないぞ」

「はい」

「武道のみでなく、学問もせねばならぬぞ。平常は何事も、朋輩衆よりも控え目に、ことある時は、人の避けることも進んでするようにな」

「……はい」

「そちにも、母がない、父もない。肉親のない身は世の中をつめたく見、ひがみ易い。……そうなってはならぬぞ。あたたかい心で人のなかに住め。人のあたたかさは、自分の心があたたかでいなければ分る筈もない」

「……え、え」

「そちはまた、利発のくせに、くわっとすると野育ちの荒気が出る。慎まねばならぬ。まだ若木のそちには、長い生涯があるが、それにせよ、生命を惜しめよ。――事ある時、国のため、武士道のため、捨てるために、生命は惜しむのだ。――愛しんで、きれいに持って。いさぎよく――」

彼の顔を抱いて、そういう武蔵の言には、どこか、名残もこれ限りのような、切実なものがあった。鋭敏な少年は、さなきだに、胸がいっぱいだった所へ、生命という言葉が出たので、遽かに、声をしゃくって武蔵の胸で嗚咽し出した。