후리가나로 읽는 일본 고전
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
国枝 史郎의 血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 191,184자 · 379화면
九十郎は織江を眺めた。
乱れた若衆髷、着崩れた男装、それが美貌と映り栄えて、歌舞伎の色若衆さながらの、艶冶たる姿態を形成っている。それが縛られているのであった。柱にくくりつけられているのであった。
(とるべき手段は一つしかないさ。長い間の慾望を、ここで一気にとげてしまい、不愍ではあるが息の根止め、一切後患のないようにするさ)
兄範之丞は諏訪高島で、湖水にきり込み殺してしまった。で、この妹の織江をさえ討ったら、もう将来自分を敵として狙う、何者もないことになる。どんなにノウノウすることか。どうせこれからは世が乱れる。百姓一揆など随所にあろう。町方へ行けば米騒動や、ぶちこわしの騒ぎもある。そういうものへ加担して、正義顔して働くように見せ、一人二人でも叩っ斬れば、どうにかそれだけで食って行ける。乱脈なこんなご時世だから、考えようによっては住みよいともいえる。禁物は遠慮と引っ込み思案さ。スパスパ本能をとげるんだなア。……
悪の性根がいよいよますます、彼に太々しく甦って来た。
「織江殿」
といいながら、九十郎は両手を顎の下へかい、蛇が鎌首をもたげるように、顔をもたげて薄ら笑いをした。