후리가나로 읽는 일본 고전
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
国枝 史郎의 血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 191,184자 · 379화면
三
「…………」
範之丞は何んともいわなかった。
が、その顔にはお吉に対する、愛慕の心とそれに抗する、義理心とが鬩ぎ合い、苦悶となって表われていた。
燈心に丁字でも出来たと見え、燈火の光が薄暗くなった。
「お可哀そうにお吉様、宵々ごとに窓下に立ち、音色に心知れとばかり、玉菊をお弾きなされます。……女の心は女が知る。……追いかけお連れしお逢いなさりませ」
織江は眼一杯涙を溜め、そういって範之丞を睨むように見詰めた。
三
「命の恩人ではござりませぬか」
織江はなおもいいつづけた。
「そればかりかその後も道中で、数々お尽くしなされましたそうな。……怨みは間接、恩は直接! ……それだけのご恩忘れては、武士ともいえず人間とも……」
「織江!」と範之丞は烈しくいった。「恩は忘れぬ、そればかりか……」
「愛しておいでなさりましょうねえ。……」
頷いてハラハラと涙をこぼした。「先夜こっそり窓から覗いて、憐れの姿見た時には。……わしは、わしは走り出て……」
「何んの遅いことがありましょう。さあこれから走り出て……私もご一緒に参ります! ……お吉様連れてこの座敷で……」
「うむ」と範之丞はフラフラと立った。