轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
怪異連続
――と、数人の足音がした。
怪異連続
塀の切り戸から転がし出された、若い男の死骸なるものを、山県紋也が小腰をかがめて、調べてみようとした時に、数人の足音が聞こえて来た。家とは反対の方角から、家のほうへ近寄って来るのである。で、紋也はそっちを見た。空地に月光が充ちていたが、その月光を黒く抜いて、これも覆面しているらしい、五、六人の武士が一団となって、群像のように小走って来る。
「下手人に見られては迷惑である。どこかへ姿を隠してやろう」
――で、紋也は四辺を見た。と手近の一所に、五、六本の杉の木が立っていて、影を地上へ落としていた。
「あそこへ隠れてようすを見よう」――で、すばやく木蔭へはいって、覆面の武士たちを眺めやった。
一瞥しただけであったけれど、切り戸から地上へ転がし出された、若い男の死骸が異様なものであったことが、紋也の眼には焼きついていた。年は二十五、六でもあろうか、大店の商人の伜めいた、美貌で痩せがたの男であった。襟をひろげて、裾を乱して、そこから清らかな胸や脛を、痛々しそうに現わしていた。しかるにどうにも異様なのは、顔の表情に苦痛らしいものが、少しもなかったことであった。