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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

巻き奉書は?

美作たちは四軒の空家を、一軒ずつ順々に調べて行った。

はずれの一軒へ来た時に、一同は意外なものを見た。

巻き奉書は?

一様に縁色の衣裳を着た、四人の老女と四人の武士とに、そのまわりを守られて、姫君姿の一人の美女が、白痴のようにぼう然と、一つの部屋にすわっているのを、美作たちは見たのであった。

「先刻の女子でござりますな」

驚いて兵馬が美作へいった。

と、美作はうなずいたが、

「右近将監武元殿の、お屋敷へ丁寧にお送りいたせ」

「は。……しかし女子の身分は?」

いぶかしそうに兵馬は訊いた。

「武元殿の妾腹の姫よ。満知姫様と申し上げるお方だ。……せがれ、左内の婚約の主だ」

「それに致してもこのありさまは?」

「夜な夜なご乱行をなされるという、おうわさがあったがうそと思うていた。……しかし、やっぱり事実であった。……左内がほかの女子のほうへ心を傾けたのはもっともだ。……左内もずいぶん苦しんだらしい。……今後は彼の思うままにさせよう」

「ご正気のようには見えませぬが?」

「どういう訳かわしは知らぬが、夜の暗が襲うてくるごとに、満知姫様にはごようすが変わり、獣のようになられるそうだ」