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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
精妙の吹き針
仲のよい娘というものは、今も昔も同じように、揃いの衣裳を着合うものと見えて、鈴江もお菊と同じように、緑色がかった友禅の衣裳に、水玉を白く染め抜いた帯を、キリリと形よく締めていた。
そういう鈴江と並んでいるお菊は、身長も二寸ほど低ければ、肉付きもずっと劣ってはいたが、そのためにかえって優しくも見えれば、また別様に美しくも見えた。お菊の髪の簪が、日の光を吸って光っている。そのすぐ横手にあるものといえば、ふっくりとした厚手の薄桃色の、鈴江の左の耳であった。
と、日の光をはね返して、宙で輝く物があった。伸ばした鈴江の右の掌に、載っている五十本の雌雄の針で、掌を埋ずめて盛り上がっている。
「さあさあお稽古をいたしましょう。妾から吹いてお目にかけます。その後であなたがなさりませ。女子の護身用の武器としては、吹き針が一等でございますよ」――にわかに吹き針が消えてしまった。鈴江が掌を閉ざしたからである。その握られた掌が鈴江の口もとまで上げられたが、口の中へ針を一杯にふくんだ、的は向こうの桐の木らしい。で、今や吹こうとした。
精妙の吹き針
ボッと膨らませた鈴江の口から、銀の線でも延ばされたかのように、針が凄じい速さをもって、引き続き引き続き吹き出されたのは、それからまもなくのことであった。