轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

と呼び歩きますので、惻隠の情を起こしましてね、私が事情をたずねましたところ……」

「およしよ」とお粂は止めてしまった。「相変わらず暢気な金ちゃんじゃアないか。お前さんそんなものにかかりあっていたのかい」

「ざっとそういった塩梅で。もしなんならもっと詳しいところを……」

「よしておくれよ、聞きゃアしないよ」

お粂はなんとなく不快そうであった。と、そういう不快そうなお粂の、浮かない気分が感ぜられたらしい、金兵衛もいくらかてれたように、しばらくの間無言でいたが、

「それはそうと姐ごどうしたんで、今夜ここへ来るようにと、私に伝言をなすったので、そこでやっては来たんですが、どういうご用がおありなさるので?」

「ああそう、そう、話してあげよう」

ようやく機嫌をなおしたらしい、お粂は気軽そうにこういったが、かたわらに立っていた長屋の土塀へ、ヒョイとばかりに指をさした。

「ね、ご覧よ、楽書きがあるから」

――で、金兵衛は土塀を見た。

「おッ、これは例の和歌だ」

「そうともそうとも例の和歌だよ」

「で誰が楽書きをしたんですい?」

「ついお前さんの鼻の先の人さ」

「あッ、それじゃお前さんだ」