轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
と、玄関の左の側に、裏庭へ通う小門があったが、そこから嘉門が顔をのぞかせた。
「おおこれは鈴江様で」
「お師匠様でござりますか。今日は稽古日でございますので、兄とともどもまいりました」
「稽古? ははあ、お狂言のな。……が、今日は駄目でござる。このように酔いしれておりますのでな。……ああそうそうちょうど幸い、お菊が泣いておりますので、あなた様の明るいご気象で、慰めてやってくださりませ。……さあさあこちらへおいでなされ。裏庭の片隅で泣いております。※(歌記号、1-3-28)柳の下のお稚子様は、朝日に向こうて、お色が黒い――おいでくだされ、おいでくだされ」
小門をあけて引き入れたので、鈴江は胆をつぶしながらも、裏庭へはいって行った時、兄の紋也が笑をふくみながら、往来から玄関へはいって来た。
「ご免くだされ、ご免くだされ」
声をかけたが返辞がない。ただし裏庭の方角から、酔っているらしい嘉門のうた声が、むしろ悲壮に聞こえて来た。「今日もお酒を召されたと見える」つぶやいて小門をくぐろうとした時に、またもや一人の侍が、往来から玄関へはいって来た。
「うむ、貴殿は山県氏か」