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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

「うむ、そうだこれがよい、師匠に仲へはいってもらおう」

で、紋也は力を橈めた。

すぐにつけ込んで押して来る。その兵馬の押し手を受け受け、紋也はしだいに下がって行く。

こうして小門の前まで来た。とたんに紋也は押し返したが、一刀流での寄り身捨て身だ、交叉した太刀の交叉をといて、ハッと柔かに上へ上げて、兵馬がそれへのっかかって、袈裟掛けに切り込んで来たところを、左のほうへ体形を捨てた。で相手の太刀が流れた。間一髪に身を寄せたが、紋也は兵馬へぶつかろうとした。が、兵馬に油断があろうか。体あたりと感じて飛びのきざまに、またも斯流での乱軍刀だ、片手なぐりに胴を払った。きまれば紋也は胴輪切りだ。が、紋也は未然に察しその裏をかいて飛びのくや、小門を肩でグッーと押して、開いた隙から裏庭へはいった。背後下がりの刻み足で、太刀は中段真の構え、兵馬の眉間へ、鋩子先をさしつけ、居つかぬ用意にシタシタと動かし、ジリリ、ジリリ、ジリリ、ジリリと、庭の奥へと下がって行く。

引き手に釣られて追い迫るのは、危険至極の業であった。剣鬼のような桃ノ井兵馬が、それを知らないはずがない。それでは知っていてやるのであろうか? それとも激怒をしているがために、危険を忘れてしまったのであろうか? これは斯道の平青眼、鋩子先を紋也の肩口へさしつけ、引くまま