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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

「紋也も京師方の人間なら、老人も京師方の人間なのだからなあ」

橋を向こう側へ渡り越した時に、こう三人の仲間がいって、友吉のほうへ顔を向けた。

と、友吉はどうしたものか、そうではないというがように、首を二、三度左と右へ振ったが、

「どうも親分の口ぶりからみると、そうではないように思われるのさ。二人ながら京師方の人間ではあるが、働きはなんとなく別ッこらしいそうだ」

「連絡ってものもないのかな」

「うむ、どうもそうらしい」

「ではなぜ人数を出すのだろう?」

「部下が入り込んでいるからだそうだ」

「ほう、どんな部下なんだろう?」

「一人は綺麗な女煙術師で、一人は相棒の小男だそうだ」

「綺麗な女煙術師が、水戸様石置き場の空屋敷へ、出入りをしていると知っていたら、俺らそれこそ張りに行ったものを」

「どうだこれから出かけて行っては」

「焼き討ちにされるのはまっぴらだよ」ここで四人は一緒に笑った。

水谷町まで四人はやって来たが、やがて鞘町へ抜けようとした。

「届けて捕り物をするのではなし、焼き討ちなんかしてもいいものだろうかな」ふと一人が不安そうにいった。

「うん、そいつは大丈夫だよ」