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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
美作の声は愉快そうであった。
「水戸様石置き場の空屋敷も、松吉の一味にああ囲まれましては、山県紋也をはじめとして、集まっている男女のヤクザ者たちは、一人として囲みを突破して、逃げ出すことはできますまい」
話しながら先へ進んで行く。どうやら二人の話から推せば、今夜水戸様石置き場の空屋敷を焼き討ちにかけようという、そういう知らせを代官松の手から、北条美作方へもたらされたので、そこで美作は兵馬を連れて焼き討ちが成功をするか、ないしは失敗に終わりはしまいかと不安に思って空屋敷へまで行って、ようすを見ての帰りらしい。
二人は先へ進んで行く。どこへ二人は行くのであろうか? 安心して本郷の美作の屋敷へ、引っ返して行く途中なのであろうか? いやいやそうではなさそうであった。こう美作がいい出したのであるから。
「紋也のほうはあれで片付く。松吉が仕止めてしまうであろう。……心にかかるはあの老人を助けている連中どもだ」
「は、さようでござります」
「人数を出さないとも限らないからな」
「は、さようでござります」
「厳重に見張りをすることにしよう」
「厳重に見張ることにいたしまする」