轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

黙々として歩いて行く。と、不意に美作はいった。「嘉門は悶えているであろうな?」

「酒びたりとなって、不平不満をいいつづけて、悶えているそうにござります。……今日も朝から酔いしれまして、フラフラとなんのあてもなく、外出しましたそうにござります。暁方に帰宅をいたしましたり、二日も三日も家を外に、泊まってまいることもありますそうで」

しかし兵馬はこういって来て、急に口をつぐんでしまった。というのは肝腎の北条美作が、兵馬の言葉を聞こうともせずに、上の空でいるように見えたからである。が、必ずしも北条美作は、上の空で歩いているのではなかった。突然このようにいったのであるから。

「左近将監武元様には、最近にとりわけご寵愛であった、年若い側室を失われたはずだ。……お菊という娘がそれほどにも……」

「は?」と兵馬は迎えるようにいった。「奪い取りまして左近将監様へ……」

「さようさ」と美作は思案しいしいいったが、「そちに依頼をするかもしれない」

「いと易いことにござります」

こうして互いに話しながら、佐久間町の町の入り口まで、美作と兵馬とが歩いて来た時に、一つの事件が行なわれた。