轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

切り合うぞ!

もちろん下坂源次郎には何の理由だかわからなかったが、烈しい主人の気合に打たれて、思わず自分も意気込んだ。「は」というと身をひるがえして、「どけ! どけ! どけ!」と人波を割って娘の後を追っかけた。

ガチガチと歯音の聞こえたのは、「本郷の殿様」が口の中で、歯叩きをしたがためであろう。

「今回の陰謀は大きいぞ! しかも連絡があるらしい! 女の掏摸! あの老人!」

「本郷の殿様」は顫える左手で、刀の鍔際をひっつかんだ。眼では老儒者を睨んでいる。

しかるに儒者ふうの老人を合点が行かないというように、みつめているもう一人の人物があった。貧しい店を出していたところの、大道売卜者の老人であった。

切り合うぞ!

大道売卜者の老人が、儒者ふうの老人へ気づいたのは、決して自分のほうからではなかった。呼びかけられて気づいたのである。その左は並び床であり、その右は矢場であり、二軒にはさまれて空地があったが、そこに売卜者の店があった。算木、筮竹、天眼鏡、そうして二、三冊の易の書物――それらを載せた脚高の見台、これが店の一切であった。葦簾も天幕も張ってない。見台には白布がかかっていて、「人相手相家相周易」