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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
活殺の問答
ご懇意のはずでございますよ」
若い武士の山県紋也にとっては女のいうことが何から何まで意表に出るように思われた。「お逢いした覚えはござりませぬが、どこでお逢いしましたかしら?」
「はいはい石置き場のお屋敷で」
女はクスクスと笑ったようである。
活殺の問答
石置き場の空屋敷で逢ったという。しかしそういう記憶はなかった。で、紋也はそれをいった。「その石置き場の空屋敷へは、私もたびたびまいりましたよ。しかし一度もあなたらしい、女煙術師などには逢いませんでした」
するとまたもや笑い声が、潜門扉の内側から聞こえて来たが、「それでは今度は女煙術師として、お目にかかることにいたしましょう」
「ほう」と紋也はそれを聞くと、声を洩らさざるを得なかった。
「それではあなたは女煙術師のほかに商売を持っておられますので?」
「はいはい、さようでございますとも」女の声は愉快そうであった。
「娘師、邯鄲師、源氏追い、四ツ師、置き引き、九官引き、攫浚付たり天蓋引き、暗殺組の女小頭、いろいろの商売を持っております」
「うーん」とそれを聞くと山県紋也はこういわざるを得なかった。「参った!」という意味なのである。