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にっき
日記
宮本 百合子
23 一九三九年(昭和十四年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 28,069 字 · 57 页
六月二十二日
六月二十三日
その対照。
六月二十二日(木曜)
〔発信〕第五十四信
六月二十三日(金曜)
〔発信〕第五十五信
〔受信〕三九年後半期
第一信(二十一日朝づけ)
◎曇った夜空は新宿あたりの灯をうけてぼーっとうるんだようにすこし赤みをおびている。
◎しっとりと黒い欅の三本の樹の姿。一帯ににじんだ墨絵のような趣。部屋の奥のアーム chair に居ると(火をつけずに)手摺の太い線が手前にくっきりと濃く見えて、階下の灯が手摺の横棧の一番ひくいところ迄明るく見えている。椅子の背の曲木の角々にどこからか鈍い光が反射している。風のように近づいて遠のく省線の響。風がない。すると、横にむねを横たえている一つの屋根の裏から花火の赤い火が一つ、つづけて青い火が一つ、スーッと短かく尾をひいて空へあがった。
◎そういう夜の暗い室の中でいろいろ考える。稲ちゃんと自分のこと。自分としての側から。そして考える。自分は自分の夫とこのように結びついた心で暮しているが、現にここにいないということ、毎日のうちにいない時々刻々のうちにその体でいないということは、やはり自分の感情にいろいろのかげを与えていることをはっきりさとる。