轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
二
二
戸締りのないドアがバタンと開く。
「ひとりだろうね」
電燈がつく。筒井レイ子は、和服のすそをはだけて、北原ミユキの枕もとにつゝ立つている。
「あら、ごめんなさい。お床とつとかないで」
と、言うのを、
「神妙にご帰宅とは知らなんだちゆうわけか。いゝよ、いゝよ、それより、困つたことできたんやわ。ほら、あんたんとこへよく来る広島の、なんだつけ、オーさんか、あのひとの友達でうちにほれちよるマーさん、知つちよるやろ。たつた今、ふらりと来て、泊るとこないか言うんよ。あちこち歩いてべろん/\や。今ごろ、どこ行つたて、宿なんぞあるもんか言うてやつたん。拝むんやわ。うちとはまだどうもないんやぜ。そやつたら、一晩ぐらいそこのはじつこへ寝かせてやつたかて、あんた、がまんできるやろ思うて……」
でい酔の舌に、さすがに約束違反の気がねをのせて、筒井レイ子は弁じたてる。
「いや! わたし、絶対に、いや!」
と、北原ミユキは夜具をかぶつたまゝ、キッパリ言う。
「いやか。いやでもしようないわ。そこへ待たせてあるんや」
「そんなら、わたし、この部屋出るわ。勝手にしなさい」
彼女は、おきあがる。