轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
八
わたし、そんなつもりで言やせんに。ひよつとしたら、あんた、その詩よんどりやせんかと思つて、ためしに言つてみたのよ。もしもそんな詩よまれとつたら、わたし……あゝ、恥ずかしい」
と、彼女は、のけぞるように空をあおぐ。
肥おけを積んだ牛車が道をふさいでいる。だれも人がいないので、しかたがなしに自転車をおりて二人は桑畑のなかを歩いた。
「こんどはわたしが乗せてつてあげるわ」
と、道に出ると、北原ミユキは、手を出しかける。
「だめ、だめ、それこそ命がけだ。さ、もうひといき……。村へはいつたらおろすから……」
「かまやせん、そんなこと……」
だゞをこねるように彼女が言いはなつたのを、市ノ瀬牧人は、つく/″\その顔をのぞきこみ、
「ほんとに、北原先生、きようはどうかおせたな。なるほど、さつきの話は、先生にとつちや重大なこつた。心配おせるのも無理はないが、まだはつきりそうときまつたわけじやなし、そんなにがつかりせんとおきない」
改まつた調子で、そう言つた。
八
「…………」
北原ミユキは、それには返事をせず、黙つて歩きだした。市ノ瀬牧人は、自転車を押して行く。が、とつぜん、彼女は立ち止まつて、