轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
二
いろりには大なべがたぎり、すゝけた天井から煙が舞いおりている。
市ノ瀬牧人は、よほど懇意な間がらとみえ、つか/\といろりばたへあがつて、なべの中をのぞいてみたりしている。
「ウサギじるをたのんどいたんだが、どんなあんばいかな。さあ、こつちへあがつてください」
この家の主人は炭焼きが本職で、猟もするのだと聞かされて、井出康子は、やつと、このもてなしの意味がわかつた。
飯もたいてあるというので、彼女は出しかけた弁当の始末に迷つた。
が、ともかくも、風変りな昼食であつた。ドンブリには、骨ぐるみぶつ切りにしたウサギの肉が山盛りに盛られた。
「どうです。加減は?」
「とてもけつこう。だけど、この分量はちよつと……。ねえ、トムちやん」
と、彼女は、ひとくちしるを吸つたあとで、はしのつけようがないという顔をした。
二
こいつは、とてもはしではだめだということになり、みんな手づかみでやりはじめた。それは彼女がお手本を示したのだから、市ノ瀬牧人はよろこんだ。
「こいつは愉快だ。さつきなべをのぞいてみて、奥さんにはどうかなと思つたんだ。これで安心した」
「あら、こういうお料理は指をつかうのが本当なのよ。