轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
六
「戦犯か……。うつかりすると、やるからなあ」
と、ため息まじりに、つぶやいた。
六
その話はそれきりだつた。
井出康子は、北原ミユキの手紙について、あれこれと想像をめぐらし、それこそ言葉にはつくせない心のもだえを察すれば察するだけ、自分と彼女との立場のへだたりを感じ、そのへだたりをうめるためにも、だれか親身にこの話を話し合う相手がほしかつたのである。一方にきまつたひとがあるという場合、若い異性の間は、こんなにまで遠いのであろうかと思つた。
また歩きだすと、モトムは、日ごろになく弱音をはき、ぐつたりしたふうをみせ、足をことさら引きずるようなまねをする。彼女は、はじめのうちは、快活に、じよう談などまじえて元気をつけつけしていたが、しまいに、やゝ真顔になつて、そんなことで男と言えるか、などと言い、自分も実は足の痛みに閉口しているのを、「お母さんをごらんなさいよ、歩くのはいつもあんたにかなわないのに、きようはあべこべじやないの」と、足を早めてみせた。
「すこし休みますか?」
と、市ノ瀬牧人は、気をきかせて、いくども言う。
「いゝえ、そんなことしてたら、なお遅くなるわ。