轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
九
九
「市ノ瀬さん、なにかご用?」
康子の声に応じて、市ノ瀬牧人は、ためらいながら門をはいつて来た。
「お客さまでしよう?」
「かまいませんのよ。主人のふるいお友達で……」
と、双方をそれ/″\に紹介したのち、男同士が口をきくのを彼女は待つていた。どちらも、いつこうに、話をしかけそうにない。そうなると、ちよつと彼女は面白くなつて、わざとしばらく黙つていた。
「ヒデ子、モトム君が帰つてくるまでいるか?」
中園三郎はついに子供を相手にしだした。
「あら、きようはゆつくりなすつていゝんでしよう。家はこの通り広いんですし、ひと晩ふた晩ならかまいませんのよ」
すると、その時、市ノ瀬牧人が手にぶらさげているワラ包みを眼の高さに差しあげながら、
「お客さんでちようどよかつた。こないだたずねた山のおやじさんが、あん時のウサギより肉がやわいだろうつて、さつきこれを届けてくれたで……」
と、言つた。
「へえ、うちへいたゞいていゝの? それは、それは……」
彼女は、縁へたつた。
「皮は、へえだるらしいが、料理は、奥さん、できるかね?」
「カシワみたいなもんでしよう? すこし違うかな」
「いや、ニワトリとは違うね。