轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
五
その点、もうなにも言うことはありません。このまゝ、こゝを引きさがつてもいゝわけです。しかし、お話を聞いているうちに、わしはやつぱり奥さんを信じて、奥さんがこうしてくれと言われることなら、どんなことでもきくのがほんとだという気になつて来たんです……」
五
市ノ瀬牧人は、そこでちよつと考えこんだ。そして、大きく息を吐くといつしよに、
「これは、まあ、宿命のようなもんです。それと同時に、こいつは、奥さんに対する……言葉はなんでもいゝですが、まあ、わしの心のありつたけ……です」
と、彼は、額をおさえながら、顔を伏せた。
井出康子は、その様子をみて、はつとしたように肩をおとし、そして、やゝ、しみ/″\とした調子で、
「わかつてます、わかつてます。立派よ、あなたは……ほんとに立派よ……。それにくらべて、あたしは、なんていう女でしよう。なにひとつ、自分の意志でものごとを決められないの。こうしたいからするんじやなくて、こうせずにいられないからするの。つまらないわ、そんなの……」
「いや、それがいゝんです」
市ノ瀬牧人は、キッパリ言い放つた――
「わしはそれが好きです。それがほんとだと思うんです。