轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
八
池内和昌が、むつつりした風ぼうに似合わずなか/\雄弁に応じた。多分、最近I市で催された青年文化講座で、だれかの音楽論を聞きかじつて来たに相違ない。
すると、今まで腕ぐみをしてじつと眼をつぶつていた市ノ瀬牧人が――
「うむ、そういや、軍楽隊の奴らは、男でもぱつとしたなりをしとるでなあ」
この男は、いつたい何者だろうと、康子は、それまで別に気にもとめずにいた未知の若者に視線を注いだ。
いわゆる農村のにおいをそれほど身につけず、そうかといつて、都会育ちのインテリというひ弱さもなく、どこかガムシャラな一面と、知的なひらめきとを併せそなえた、わりに複雑な印象を与える男である。太いまゆを忙しく動かして物を言う癖は、自信の強さと、はにかみやであることを証明している。
「和昌さん、どなた、この方?」
と、そこで康子は当家のせがれにたずねるよりほかなかつた。
「戦死した兄貴のお友達で、市ノ瀬牧人さん、今日はお線香あげに寄つてくれただ」
八
「どうかよろしく。お前、はよう紹介してくんでいかんわ」
と、市ノ瀬牧人は、頭を抱えながら、傍らへつぶやく。
「和昌君の兄貴の親友でもあり、北原先生の許嫁の悪友でもあります。