轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
いゝか、冷静に聞けよ……」
夫の調子は、しごくまじめではあるが、どこかよそ/\しく改まつたところがあり、康子は、この自分にも当然関係のある重大な事柄を、こんなふうな調子で夫自身の口から伝えられるのはいやだつた。なぜもつとくつろいだ、自然な、親しみのある、しみ/″\とした調子で話しだしてくれないのか!
「ちよつとお待ちになつて……。あなた、後生ですから、もうすこし……」
「もう少し……なんだ?」
「えゝ、もう少し……なんて申すんでしよう……。とにかく、あたくし、まだ、なんにも気持ちの用意なんかできていませんの。いきなり、そんなふうに、冷静に聞け、なんておつしやつたつて、無理ですわ」
「やつかいなことを言うなあ。だつて、さつきお前は、早く話をしろつて言つたじやないか」
康子は、黙つて夫の顔をみつめていた。そしてその眼の動かぬ表情のなかに何ものかを読みとろうとした。しかし、彼女は、やがて胸にこみあげてくる恐怖に似た感情をおさえることはできなかつた。そこで、静かに席をたちながら言つた。
「あたくし、どうしてこういく地がないんでしよう。いままでずつとお側にいたのなら、いまなにをおつしやつても、そんなに驚かないだろうと思いますの。