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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

十五日のお手紙は、きのうかえって来たらテーブルの真中に出て居りました。どうもありがとう。きのうついたというのはうれしゅうございます。

追い出された目録たちのこと。たしかにいくらかヒステリーだったのね。それもそうだし、むき出しに云ってしまえば、私がまだ本当の勉強のやりかたを十分わかっていなくて、間に合わせの方法でやりつけて来ているということを認めなければならないのでしょうと思います。私の勉強法なんて全く、自家製のお粗末なのですものね。誰からも教えられず、極めて遅々たる自分の自然な成長の歩調で、やっと本を使うことの一つ二つを知った程度ですもの。しかも、もしあの婦人作家の研究でもしなかったら、私はいつも自然発生の感想をかくことしか学ばなかったかもしれません。

目録類を粗末にしたことについては、強弁の余地なく、「それも亦妙なる」自己弁護もする気がありません。僕のコレクションと云われると、駭然として悄気ます。御免なさいね。出来るだけ何とかして恢復を計りましょう。全然不可能でもないでしょうから。

けれども実際本の保管には弱ることね。永年に亙って本をとっておくということは(雑誌の場合)大したことだし、さりとて文芸評論だけ切りぬいたってやはり、その号の全体の表情との関係がいるのでしょうし。