轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
から、空地は人の群れで充たされていた。で、金兵衛は同じように、詫びをいったり毒吐いたり、人に突きあたったり突きあたられたり、もがいたり喘いだり、押し返されたりしながら、突き進まざるを得なかった。空地はたいして広くはなかった。しかしこの時の金兵衛には、一里もあるように思われたが、それでもようやくのことで、金兵衛は空地を横切って、空地の向こうにたむろしている私娼窟の露路へはいることができた。
この露路を抜ければ、今と同じような小広い第二の空地となり、その空地を抜ければ一番に大きな、私娼窟の一廓へ出ることができる。そこまで駆けつけなければならなかった。その私娼窟の一廓に、山県紋也とお粂とのいる笹家という家があるのであるから。が彼ははたしてそこまで駆けつけ得られたか? 不幸にも金兵衛は駆けつけられなかった。
第二の空地までたどりついた時に、笹家の立っている方角から、突然に悲鳴と叫喚とが起こって、つづいてカッと火の光がさして、見る見る月の夜が紅色に染められ、すぐに屋根を抜いて焔の束が、煙りをともなって上がったからである。
「しまった! 焼き討ちだ! まに合わなかった!」