轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

風雪の中

一

風雪の中

一

嘉永五年五月はじめの或る日、駿河のくに富士郡大宮村にある浅間神社の社前から、二人の旅装の青年が富士の登山口へと向っていった。参道を掃いていた宮守の老人がそれをみつけて、「もしもし」と呼び止めた。

「あなた方はお山へお登りかな」

「ああそうです」背丈の低い方の青年がふりかえって答えた、叱られるとでも思ったものか、人の好さそうな円い顔が赤くなった、「そうです、これから登ろうと思うんですがなにか御禁制でもあるんですか」

「べつに御禁制というほどのことはありませんが、おまえさん方はもうお山には馴れておいでか」

「いや初めてですよ」

「剛力はお雇いでしょうな、荷を背負ったり道の案内をしたりする男です、下の宿でお雇いになったでしょう」

「それは、その、なんですか」

青年は困ったようにますます赤くなり、つれの方へ救いを求めるような眼を向けた。しかしつれの青年はまるでこっちの問答など聞えもしないようすで、片方の脚にからだの重みを支えながら、岳樺の芽ぶきはじめたみずみずしい枝をうっとりと見あげていた。

「で、それは、その、雇うきまりになっているんですか、つまりその剛力というのを雇わないといけないことにでも」