轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

二

二

明くる日の午食を済ませてから、大助は石町の店へでかけていった。

「早水という客が来るかも知れない、来たら風呂へいれて大切にお相手をしていて呉れ」

出がけに大助はそう云い残していった。秀之進の手紙に近々江戸へ帰ると書いてあったからである。

「はい、いっていらっしゃいまし」

大助を送りだして梅八が部屋へ戻るとほどなく、矢の倉の「舟伊」という料亭から座敷が掛ってきた。梅八はもうひいているからだで、ごくなじみの客でもあれば気散じに出るし、それもこちらの気の向きしだいということにきめていたが、それでも月に十四五回は欠かせぬ義理があったのである。

「お客さまはどなた」

「笛のお武家さまです」

迎えの男がそう答えた。笛の武家と聞いて、梅八はちょっと心うごくようすだった。それは半月ほどまえから知り合った客にすぎないが、もう五たびも呼ばれているし、なかなか座敷に魅力があったのである。

今日はこっちにも客がある筈だから、夕方もういちどかけてみて呉れ、梅八はそういって料亭の迎えを帰した。……然し日が暮れても大助の云い置いていった客は来なかった。それで灯を入れるとすぐ、また迎えがあったので、梅八はいつもそうするとおり、寒笑のうちの婆さんに留守をたのんで、舟伊へでかけた。