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にっき

日記

宮本 百合子

23 一九三九年(昭和十四年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 28,069 字 · 57 页

青空文庫

二月一日

モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の五月下旬の公園の夜の空気を思いおこした。あの匂いこまやかさ。

○伊東やに欲しいブックエンド一対あった。

〔欄外に〕

面会。

○浅野先生に Book End おしどり。

○木村先生にフランスやきの小花瓶

「なるたけ近いところの方がいいから」きょうも云う。大塚の家の話。

そしたら又一ノ三〇何番とかの札出ていた。あしたの朝早く行って見よう。

二月一日(水曜)

隆二さんに八年ぶり。

かえって来たら栄さんがいて、原さん一昨晩から陣痛を催しているが、まだ生れないとのこと。大塚病院にいるとのこと。

何か落付かず、見舞に出かけて二階の階段にかかったら、うしろから上着をぬいだ重治、すこし小刻みのように歩いて来て細い声で、生れたよ、生れたよ。大分うれし、つかれた様子。泉さん、まだ産室にいて、ほんとうに今度は最後の力をふりしぼりましたよと云って涙を出した。赤ちゃん七百八十匁。まとまった顔をしている。女の子。名はまだ考えてもない由。大手柄大手柄は御苦労様だった。

○かえって栄さんの小説をよむ。

○赤坊を生むということが今度はうらやましかった、切開したりして却ってそういう気持が肉体的にわかるところ面白い。