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にっき

日記

宮本 百合子

23 一九三九年(昭和十四年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 28,069 字 · 57 页

青空文庫

一月二十四日

「それから花を入れたいって云っていたろう。切花にしてくれないか、切り花の方はあいているから。」同じように、やっぱり一枝は新しい花もいいし欲しい心持。すっかりしぐれて来てしまって月どころではなさそう。

「ユリの薬きけそうかい?」瞬間何か分らず。すぐ思い当ったら顔が赧らむのが自分に感じられるようだった。「きくわ、時々はききすぎる位よ」笑って「マア適当にとるがいいね」こういう表現!

夕方音を立てて雨が降って来た。mの外套について光る雨のしずく、傘の下の顔などが見える。この雨の音。同じに耳を傾け、この雨の中に傘をさして出てゆく心持だろう。私が濡れた? ときき、立って外套をぬぐのを見ている、そういう玄関の光景が見えるだろう。

夜星夜になった。夜寿江子何かたべようと云い、しかし自分ブッテルブロードしか考えられず、それが胸に一杯で到頭つまりは何もたべずしまいになった。

〔欄外に〕

八年目には、Week day は同じでも旧の月はちがうということがわかった。旧の四日月では夜見えないわけ。

一月二十四日(火曜)

〔発信〕第八信

ああさん来、大塚の方にある家の話が出てすっかりのり気になって、そういう事情になったらぜひかしてほしいとたのんだ。