轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
八
「さ、なんにもないけど、お茶にしましよう。トムちやんは、このおにいさん、知つてるわね。市ノ瀬さん、ね、いつか北原先生と……」
「うん、うん、そんなこと知つてるよ」
八
「そんなこと知つてる、は、なに? その言いかたは?」
笑いながらではあるが、井出夫人はちよつと息子をたしなめる。
「こないだ、いたゞいたおさつだけど、よくこんなに上手にかこつておゝきになるわね」
東京風の焼イモが、彼女のしなやかな指の先につまみあげられる。
「今年はじめて成功したつて云つてますよ、うちの母は」
「あら、あなたのご研究じやなくつて、お母さまのご丹精なのね」
「わしは一俵二俵を目当にしとらんからね。去年はこの村で五千貫から腐らかいたで、今年は、わしがやり方をかえてみただが……」
「へえ、そうすると、あたしたちの命が市ノ瀬さんの肩にかゝつてるわけ?」
「そういうこんだ」
まじめともじようだんともつかぬ話ぶりだが、しかし、夫人のいのちだけなら、自分の肩に、と言いたいところである。それにしても、こういう話題は、彼としてはあまり好ましくない。こんな話ならどこへ行つてもできるからである。と、そのとき、