轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
十
わしがやらずか?」
結局、そういうことになり、市ノ瀬牧人は井戸端へまわつた。
康子が夕飯の支度にとりかゝつている間、中園三郎と市ノ瀬牧人は、座敷とえんとにそれ/″\陣どつて、親しく言葉を交した。戦争の話にはちよつと触れたきりで、二人は日本の将来について語り合つた。中園が単純に経済問題などを論じ、自分の生活ということで頭がいつぱいなのをみて、市ノ瀬は、現役将校の転身とはこういうものかと思つた。中園は中園で、市ノ瀬の見かけによらぬ複雑な考えに眼をみはり、祖国の運命をおもいなやむ青年のすがたをそこに発見して、なにか久々で厳粛なものに接する気がした。
と、一方では、子供たち二人が、絵本にもあきたとみえて、手をひき合つて表へ駆け出して行つた。
「どこへ行くんだ?」
中園はそつちへ声をかけたが、そのあとでうなるように言つた――
「君は、いつたい、いくつですか、年は?」
十
夕食には、市ノ瀬牧人も引きとめられて、ぜんについた。
女世帯にも近ごろわずかながら配給になつたという何級かの酒が出た。
なんの屈託もなさそうに、慣れない事業の困難さを語つて聞かせる中園の酔のまわつた調子は、例の軍人独特のものだつたが、康子は、それがそんなに聞きづらくはなかつた。