轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
以前は、いくぶん、そういう単純な性格を俗つぽさとして軽べつする気味があつたのに、きようは、その同じ性格が、むしろ彼女の眠つている感覚をよびさますはたらきをした。ほんとに、彼女は、自分でも不思議なほどうき/\とした気分になつた。
で、彼女は、別に強いられもせぬ酒を、杯に二三ばい飲んだ。
これに引きかえて、市ノ瀬牧人は、しじゆう、むつつりとし、中園の不必要に高い声に対抗するような低音を時々はさんでいた。
康子は、しかし、そういう市ノ瀬の存在を無視するように、中園の一語々々に絶えず眼や、肩でこたえていた。それは、いまだかつて、市ノ瀬に向つてはみせたことのない、最も華やかな彼女の姿態であつた。しかし普通、彼などの想像し得る若い女のコケットリーとは違う。みじんも男性にこびるというようなところのない、却つて、そのために威儀をますとさえ思われるたぐいの、気取つて言えば、天上を舞う魅惑の権化そのものであつた。
市ノ瀬牧人のこういう観察は、うい/\しい驚きと、苦つぽいしつととをまじえてなされたことはもちろんであつた。そして、食事がおわり、子供たちが歌をうたい、中園が、ほんとにひと晩やつかいになつてもよいかと、夫人に念を押し、夫人は、気軽にひと晩でもふた晩でもとうけあい、やがて、寝床が敷かれようとするまで、彼は座をたちそびれ