轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
十二
「想像がつかないわ。ヒデ子ちやんをそんなところへ連れてらつしやるなんて、すこし無茶ね」
「そうでしようか。しかし、丈夫に育つてくれさえしたら、面白い女になると思うんですがね」
「丈夫に育てる自信、おありになるの?」
「育つか育たないかです。運を天にまかせるよりほかにありません」
「そんなら、何も言うことないわ。お友達はあるんでしようね」
「まだ、子供は一人もいません。第一、女つ気がないんです。事務所の飯たき婆さんをのぞいては……」
十二
中園三郎のガッシリした肩が大きくゆれ、引きあげた太いまゆの下で、年にしては濁りのない、若者のような眼が、康子の視線を追うようにまつわりついた。
彼女は自分でもわけのわからぬ戦りつを全身に感じ、それをあからさまに楽しむように、まぶたを軽く閉じたり開けたりするしぐさをくりかえしていた。
と、中園は、とつぜん、ため息まじりに、言つた――
「ねえ、奥さん、どうお思いですか、ぼくはやつぱり娘と二人でずつとやつて行つた方がいゝとお思いになりますか?」
彼女は、夢からさめたように、
「え? さあ……」
と答えたまゝ、今度は、ひとみいつぱいに彼を見すえながら、だん/\に首をかしげ、それにつれて、油断のない笑顔をつくつた。