轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひのとびら

火の扉

岸田 国士

「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页

青空文庫

七

「そうか。それや可哀そうだつた。電話をかけてよこせばいゝのに。もつともあの駅には普通電話はないのか。まあ、いゝ、無事に来れたんだから……。みんな変りないね? モトムは元気か? かい虫がわいたつていうじやないか? そんなものはすぐ出せる。いなかはどうだい、いなかは? 百姓は日本が負けたつていうことを、実際に感じてないだろう? お前たちだつて、戦さに負けるつていうことは、どういうことか、ほんとにわかつてやしないんだ。情ない国民さ。まあ、すわれよ。荷物はそれだけか?」

七

たてつゞけにしやべる夫の前で、康子はしばらく黙つて立つていた。自分ひとりで勝手なことをべら/\まくしたてることが彼にはよくある。それは平生の癖というよりも、どうかしたはずみにそうなるらしい。相手により、場合によつて、むしろ口数をきかぬこともあり、そういう彼もまた、彼らしいのである。康子は、夫のこのとめどのないおしやべりを、ひとつの発作とみていた。鎮まるのを待つより手はないのである。

「お寒くはないかと思つて、チッキで毛布とお下着を二三枚送りましたの。おいり用のものをちつともおつしやつてくださらないから……」